国境 2020 2 23

書名 グローバル資本主義 VS アメリカ人
著者 篠原 匡  日経BP

 21世紀になって、経済に国境はなくなったが、
それで利益を得たのは、
投資家と経営者だけだったかもしれない。
 そのような思いが、
没落していく中間所得層の深層心理にはあるでしょう。
 今から20年以上前だったと思いますが、
アメリカでは、このようなブームがあったと記憶しています。
 それは、アメリカ国内の工場を閉鎖して、
メキシコに工場を建てれば儲かるというブームでした。
 確かに、それで人件費は削減され、利益は大幅に増え、
株価は上昇して、投資家と経営者は大満足という結果でした。
 もちろん、メキシコ人にとっては、
アメリカから工場がやってきて、雇用が大きく増えて、
中間所得層が増えたというメリットがあったでしょう。
 しかし、アメリカから安価なトウモロコシが流入して、
メキシコの農業は、大きな打撃を受けたという「負の側面」があります。
 この本では、メキシコとの国境近くに住むアメリカ人の思いを取材したものです。
民間人が国境を守るために、具体的には麻薬の密輸を防ぐために、
自警団を結成して、国境を警備している一方で、
「麻薬は問題だが、それは需要側の問題、つまりアメリカ側の問題であり、
アメリカ側の需要がなくなれば解決する問題であり、
越境する移民には問題なし」と考えて、不法移民を支援する団体もあります。
 いずれにせよ、背景には、
経済的に余裕がなくなった中間所得層の社会情勢が、
このような国境問題に影響を与えていると思っています。






































































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